老人ホームのクーリングオフ(短期解約特例)制度とは?
ご家族の老人ホームへの入居を考えている方は、老人ホームの入居についての説明を受けた際に「入居しても施設が合わなかった場合は、クーリングオフが使えるので安心してください。」と言われて、「クーリングオフってどんな制度なんだろう?」、「クーリングオフを使った場合いくら返金されるの?」といった疑問をお持ちだと思います。
この記事では、老人ホームのクーリングオフ制度(※厳密にはクーリングオフ制度ではなく短期解約特例制度ですが、この記事ではクーリングオフ制度として説明しています)の対象となる範囲や金額について説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
老人ホームのクーリングオフ(短期解約特例)制度とは?
有料老人ホームの契約におけるクーリングオフ制度とは、契約を締結した場合でも、3ヵ月以内であれば無条件で契約を解除できる入居者を保護するための制度です。
特に入居時に多額の費用を支払う『入居一時金』の料金体系を採用している有料老人ホームにおいて、入居してから短期間で解約した場合に入居者を保護するための制度として用いられています。
クーリングオフの対象となる有料老人ホームの費用とは?
有料老人ホームの料金体系は以下のようになっています。
このように『初期費用』と毎月支払う『月額費用』に分けることができます。
初期費用(入居一時金)とは?
有料老人ホームに入居する時の初期費用は、家賃の前払いとして支払う入居一時金や敷金からなっています。
このうち入居一時金は、入居期間に応じて家賃の支払いに充てる『均等償却』、入居時に想定入居期間を超えて入居した場合の家賃として処理する『初期償却』という仕組みが取られています。
クーリングオフで返還・返金される金額とは?
クーリングオフで返金の対象となる金額は、入居一時金としてまとまって支払った金額となります。
最近では、入居一時金が0円のプランを用意している有料老人ホームも多く、このようなプランで申し込みをした場合はクーリングオフの対象となる金額はないということになります。
それでは具体的な返金される金額について計算式を見ていきましょう。
このように、クーリングオフを利用して返金を受ける場合でも、実際に施設に入居していた日数の家賃や共益費、食費などは支払う必要があり、一般的には返金される金額から差し引かれることになります。
クーリングオフが適用にならないと言われた時の相談窓口は?
クーリングオフの制度はすべての有料老人ホームに適用されますが、返金の金額や適用にならないケースなどの相談件数は全国的に増えているようです。
そのような時には、相談窓口へ相談することをおススメします。
クーリングオフの相談窓口
- お住まいの地域の消費生活センター・消費者センターなど
- 全国有料老人ホーム協会の相談窓口
- 都道府県の福祉保健局の相談窓口
老人ホームを退去する理由と退去までの流れ
ここでは、老人ホームを退去する理由や実際に退去することになった場合の退去までの流れをご紹介します。
老人ホームを退去する理由とは?
老人ホームを退去する理由として、以下のようなことが挙げられます。
老人ホームを退去する理由
- 希望するサービスを受けられない
- 要介護度や認知症が進み、現在の施設では生活が難しいと言われた
- 長期間の入院をすることになった
- 家族の自宅や家族の近くの施設に移ることにした
- 料金が高い
- 食事がおいしくない
- 他の入居者と合わない
- スタッフと合わない
老人ホームを退去するまでの流れ
退去を決めてから、実際に退去して次の住まいへ引っ越しするまでの流れは以下のようになっています。
このように、まずは退去後の住まい(老人ホーム等)を探すことになります。
もし、希望の条件に当てはまる老人ホームがなかなか見つからなくてお困りの方は、かいごDBの『無料電話相談窓口(0800-300-2817)』までお電話ください。
専門の相談員が皆様の希望に合う老人ホーム探しを無料でサポートさせていただきます。
次に入居する老人ホームを探す方法と注意点は?
次に入居する老人ホームを探す方法をいくつかご紹介します。
一つは、『かいごDB』のような老人ホームの検索サイトを利用して、ご自身で探す方法です。
老人ホームの検索サイトを利用するメリットとして、全国の老人ホームから探せること、老人ホームの種類を問わず探せること、スマホで簡単に探せること、気になった施設の資料をまとめて取り寄せができることなどが挙げられます。
また、要介護度や認知症の進行などによる退去の場合は、現在入居している老人ホームから紹介を受けるという方法もあります。
老人ホームを経営している法人は、1ヵ所の施設だけでなく複数の施設を運営し、その方の状態に合わせたサービスを提供する同じ系列の施設があったり、近隣の知っている施設を紹介してくれることがあります。
その他にも、市町村の相談窓口や社会福祉協議会などでも老人ホームのパンフレットを設置していることがあるので、利用するのも良いでしょう。
ただし、どの方法にも共通しますが、老人ホームを探す時の注意点として老人ホームを退去した理由を明確にしておきましょう。
退去する方がどのような状態なのか、どのような希望があるのか、どのような不満があったのか、などを明確にすることで、次の老人ホームを探すための条件が決まります。
まとめ
入居後に何かしらの理由があって短期間で退去する場合、クーリングオフの制度を利用することで入居金の返金を受けることができ、その返金された資金と経験を基に別の老人ホームを探すこともできます。
入居するご本人は体調・病状が変化することもあるので、短期間での希望条件の変更も考えて、有料老人ホームの退去条件や返金の仕組みを理解しておきましょう。
ここでご紹介した内容が皆様の老人ホーム探しの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
監修者
大久保 典慶
介護福祉経営士1級
かいごDBの編集担当。老人ホーム等の介護・福祉・高齢者事業を幅広く運営する社会福祉法人での経験を経て、株式会社エス・エム・エスに入社。老人ホームをお探しの方やご家族に、介護・福祉に関わる情報をわかりやすくお届けします。